ら：礼賛

比治山下
出汐交差点の信号に引っかかり
ふと　
左側バス停のベンチに座る女性の
動きに目が留まる。


その女性
手に持った缶々を口にあてがい
ズズィーと音が聞こえそうな程
振り切れいっぱいの角度で
飲み干した後・・・

今度は缶の飲み口を覗き込み
中身を確認しておられる。

ははーん
それは　お汁粉ですの
まだ中に小豆粒が残っとるんですなぁ？
気になるんですなぁ？


こりぁー　正に　あるある　じゃー　
と続けて観察していたら

パッと　視線が合うて
こっちがドキッとしてしまう


しかしそのオカタ
仕舞いには立ち上がって
缶のお尻をポンポン叩いて
しっかりと最後まで
白黒付けようとしておられた。

ブラボー
なんとも　堂々として　勇ましい。

バス
もうちょっとの間　来たげんさんなや

６年かー
早いもんですなぁー
いよいよ　来月卒業式ですと


風呂上がりの下娘が
さも聞いてほしそうに
聞き慣れん歌を口ずさむ。


卒業式で歌う歌が決まったんじゃー

何ちゅう曲や？

巣立ちの歌


へー　そうかー　ワシの時は
カボスの歌　歌うたがのぉー

と　カマシたら

んな訳ないじゃん！　と
間髪入れずの略式ツッコミ

その後の加算ボケ返しは無かったけど

おー　少し分かってきとるじゃないか
なかなか良い方向で成長しとる

もうすぐ中学生にしたら
まあまあじゃ